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Fluid Mechanics Group, Graduate School of Engineering Science, Osaka University

後藤研

研究紹介

最近行っているおもな研究を紹介します。

数値シミュレーション

渦の階層

乱れの中の秩序(1)

乱れた流れの中にも秩序立った構造が存在します。私たちは、この秩序構造に着目することで、乱流の複雑な動力学を簡単に理解することが出来ると考え、さまざまな境界条件下での数値シミュレーションを行っています。上は周期境界条件下の乱流中の秩序構造です。 YouTube

渦の階層
渦の階層

乱れの中の秩序(2)

壁面近傍の乱流の例です(上)円柱背後にできる乱流(下)平板上にできる乱流境界層。いずれも一見複雑ですが、ここでも『秩序構造』に着目することで、その動力学をよく理解することができきます。解説動画も是非ご覧下さい: YouTube

流れによる輸送現象

乱流は物質や熱などを強く輸送する能力を持ちますが、その物理機構は一見かなり複雑です。しかし、流れの『秩序構造』に着目すると、この複雑現象も容易に理解できることがあります。私たちは、このような独自の視点から、流れによる輸送現象の系統的な解明を目指した研究を進めています。

非ニュートン流体の流動現象

水に少量の界面活性剤や高分子を添加するとその流動状態が劇的に変化する現象が知られます。これは添加物の影響で流体が非ニュートン粘性や弾性等の性質をもつことに起因します。その物理の解明を目指した数値シミュレーション(上は分子シミュレーション)や室内実験を進めています。

粉体の流れ

ブラジルナッツ効果に代表されるように粉体は混合が困難な物質のひとつです。私たちは流体力学の立場から、粉体の流動や混合現象の解明に向けた数値シミュレーションや室内実験を行っています。上は、最近発見した粉体の攪拌技術の一例(数値シミュレーション)です。

界面を伴う流れ(1)

私たちの身のまわりの流体のほとんどは境界面を持ちます。とくに、空気と水といった2種類の流体が接する境界面の近傍では、非常に興味深い物理現象が起こります。幸いなことに、近年の数値計算手法の発展により、界面を伴う流れもかなり正確に数値シミュレーションできるようになってきました。私たちも、界面を伴う流れの物理現象の解明に挑戦しています。

界面を伴う流れ(2)

応用上も重要な問題のひとつに乱流中での気泡や液滴の分裂の問題があります。このような複雑な現象(2つ以上の物質が混在する現象)であっても、スパコンを用いた数値シミュレーションが可能となってきました。今後ますますの発展が期待できる研究課題です。

生物と流れ

多くの生き物は流体に囲まれて生きています。私たちは、生物と流れが相互作用する複雑な現象を理解することを目指し、数値シミュレーションを駆使した研究も進めています。上は、イルカが尾びれを使って水中を泳ぐ様子を、乱流中の秩序構造とともに可視化した動画です。詳しい解析により、イルカがどのような渦を作ることで推進力を得ているのかが明らかになりつつあります。

室内実験

歳差実験

よく制御された流れの実験

流体を充填した容器を歳差運動させることで内部に強い乱流を駆動することができるこを見出しました。私たちは、この乱流の維持機構の解明に挑戦するとともに、その工学応用に向けた研究を進めています。(実験の様子→ YouTube

攪拌機の開発

これまでに私たちが行ってきた数値シミュレーション、室内実験および理論研究で得られた知見を活かした新しいタイプの攪拌機の開発に挑戦しています。とくに、「攪拌翼のない攪拌機」の提案にこだわり、液体や粉体の攪拌の革命を目指しています。

回流水槽

回流水槽を使った実験

上の『数値シミュレーション』の項目でも言及しましたが、界面を伴う流れの研究は今後ますます活発になるはずです。しかし、数値シミュレーションだけで、界面近傍の複雑流動現象を解明することは難しいと考えています。そこで、私たちは、数値シミュレーションと並行して、回流水槽を使った室内実験も精力的に進めています。

理論研究

機械学習

機械学習を用いた流れの予測と制御

機械学習を用いることで、データから帰納的に流れの予測や制御を行うことができます。私たちは、流れの物理(方程式)による演繹的な方法と、機械学習による帰納的な方法を組み合わせることで、流れの現象の予測やモデル化、制御や最適化に取り組んでいます。

粉体の連続体理論

粉体はその置かれた環境によって流体的にも固体的にも振る舞うため、その流れの予測が困難です。私たちは、そうした粉体の運動を連続体理論に基づいて解析し、粉体流動に関連した様々な興味深い現象を解き明かしています。

理論

強い非線形性を扱える理論

以上で挙げたような流体力学の緒現象は強い非線形性と非平衡性を併せ持つものばかりです。これらを解析的に扱うことは一般には困難ですが、私たちはそれを可能とするような理論の構築を目指しています。